
広がるJKブーム
重慶の街中で日本の女子高生の制服を着た女性を見かけることが多くなった。『最近は日本の様な制服を標準とする高校も出てきたのかな!?』と一瞬思ったのだが『 確か中国の小中高生の制服はスポーツウェアだったはず⁉』と思い出した。その後ネットで調べて見ると、日本の女子高校生の制服を着るブームが起こっているようであった。

街中で意識して見ると漢服(レポートはこちら→中国 ブーム到来!? 漢服の魅力を徹底分析してみた‼︎)と違い、JKの制服を着ている人は数多く見かける。面白い事に、かなり年配の人や、なんちゃって制服を着ている人もいるw。写真だけ見ると日本でよく見かける風景に見えるのだが、ここ中国ではかなりレアケースとなる。というのもやっぱり、一部の例外を除けば全ての中高生の制服は、依然スポーツウェアだからである。

スポーツウェアにもメリットはある。学生の性分は学業であり、お洒落に余計な気を使わなくて済むことや、丈夫で長持ち、安価で成長期でもある程度の大きさも調整できるなど経済的であるのに加えて、貧富の差が出にくい。最大の理由は、高考(ガオカオ)と言われる大学受験であろう。落ちれば人生の落伍者扱いとなるこの人生の一発勝負のために、恋愛をご法度にしている高校まであるという。
とは言うものの、一番お洒落したい時期をスポーツウェアで過ごすことを余儀なくされた学生たちは、大学生となった暁には一気に暴発するのだろうか!? その様な背景もあり、二十歳を超えた方でも憧れ的にJKファッションとして制服を着るのかもしれない。
JKブームの火付け役 ACGN とはなんだ⁉︎
ネットでJKとは日本のネットの流行語で“女子高生”の意味とされている。また、“ACGN界用語”とも紹介されていた。ACGN? なんだそれは!?
ACGNとは
Animation(动画) アニメ
Comic(漫画) マンガ
Game(游戏) ゲーム
Novel(小说) 小説
の英語の頭文字を取った新語であり、二次元文化のことらしい。
1990年代に海外のアニメが中国で紹介され始めると、80年代生まれがまず初めに二次元文化の影響を受けた世代となった。その後、インターネット文化が普及し、中国国産アニメが台頭するようになり、二次元作品はいっそうバラエティーさを増し、さらに広く発信され、90年代や2000年代生まれの二次元ユーザーが急速に増加したという。
そういえば、90年代生まれのスタッフは、一緒に行ったカラオケで『エバンゲリオン』の主題歌を日本語で私よりはるかに上手く熱唱していたことを思い出した。その後、どのようなマンガを知っているか質問すると、ドラゴンボール、ドラえもん、ワンピースはもちろん、ポケモン、スラムダンク、夏目友人帳、銀魂、NARUTO、進撃の巨人、東京グールまで、私の知らないマンガまで知っている。不思議なことにあれだけ有名な北斗の拳は知らなかった。なるほど、中国政府の検疫に引っかかったのね~とすぐに納得したのだが、私の予想を遥かに上回る日本マンガの知識であった。

この様な背景から、JKブームの火付け役というのは『美少女戦士セーラームーン:美少女战士SAILOR MOON』『カードキャプターさくら:魔卡少女樱』『名探偵コナン:名侦探柯南』『犬夜叉: 犬夜叉』などが紹介されている。無論、このマンガを知らなくても友達が来ているのを見たり、ネットサイトで数多く販売されており『可愛い』と感じた人々が購入しているのだろう。
JKを調べていたのだが、”ACGN “という言葉を知ることができたので少し深堀することとしよう。しかし中国の場合はネットで検索しても、公式=共産党、それ以外は個人的?の様でどれが本当で、どこまで信用できるのか分からないのが正直なところ…。大きな広い心で見てもらいたい。
Animation(动画)・Comic(漫画)
まず発見できたのが、2019年に、良いアニメ(好看动画)TOP10というタイトルで紹介している記事を見かけたので紹介したい。放映時期のズレもあるだろうから、時系列は無視して『中国で見られているマンガ』という観点で見て頂きたい。

TOP1:《千与千寻》 千と千尋の神隠し
TOP2:《龙珠》 ドラゴンボール
TOP3:《灌篮高手》 スラムダンク
TOP4:《火影忍者》 NARUTO
TOP5:《海贼王》 ワンピース
TO:6:《死神》 ブリーチ
TOP7:《名侦探柯南》 名探偵コナン
TOP8:《机器猫》 ドラえもん
TOP8:《新世纪福音战士》 エバンゲリオン
TOP10:《圣斗士星矢》 聖闘士星矢
驚いたことに、ほとんど日本と変わらないのではなかろうか!? そういえばTOP3の『スラムダンク』の日本の聖地巡礼として、江ノ電・鎌倉高校前踏切が写真を撮る外国人でごった返し、日本のニュースになっていたことを思い出した。アニメに出てくるシーンを実際に海外まで巡礼するとは‼ 中々の熱の入れようではないか。また、TOP 10には入らなかったが『イニシャルD』に出てくる “藤原とうふ店” は重慶で実在するのである。(レポートはこちら→【検証シリーズ】中国 『藤原とうふ店』で実際に豆腐は食べられるのか?)

上記は会社の同僚がなぜか『鬼滅の刃』の中国語版を数冊購入していたので、写真を撮らさせて頂いた。コミック1冊の値段は23元(380円)程度。日本より少し安いくらいか⁉︎ 日本の単行本をそのまま忠実に中文に訳している様である。擬音の日本語と中国語の言葉が入り乱れている。また、書店に行くとワンピース、名探偵コナンなどコーナーがある人気ぶりの様だ。
Game(游戏)

TOP1:《最终幻想》 ファイナルファンタジー
TOP2:《勇者斗恶龙》 ドラゴンクエスト
TOP3:《传说系列》 ゼルダの伝説
TOP4:《口袋妖怪》 ポケットモンスター
TOP5:《女神转生》 女神転生
TOP6:《伊苏》 イース
TOP7:《梦幻之星》 ファンタジースター
TOP8:《光明系列》 シャイニング・ウィンド
TOP9:《迷城的国度》 ザナドゥ・ネクスト
TOP10:《.hack》 ドットハック
私はゲームの世界は明るくないが、見る人が見れば分かることに期待する。やったことはないがもちろん、知っているゲームもある。プレイステーション?が人気なのかな⁉︎
Novel(小说)

村上春树 《挪威的森林:ノルウェーの森》《1Q84》《海边的卡夫卡:浜辺のカフカ》
东野圭吾 《白夜行》《秘密》《湖畔》
渡边淳一 《失乐园:失楽園》《光与影:光と影》《钝感力:鈍感力》
川端康成 《雪国》《古都》《千只鹤:千羽鶴》
三岛由纪夫 《金阁寺:金閣寺》《鹿鸣馆:鹿鳴館》《丰饶之海:豊饒の海》
大江健三郎 《广岛札记:広島ノート》《饲育》《个人的体验:個人的な体験》
中国のネットに出てくる著者を挙げてみた。中でも村上春樹は圧倒的な人気だそうだ。最近では東野圭吾もよく読まれていると聞く。面白いことに川端康成や三島由紀夫など、日本の古い著者も挙げられている。日本の文化に興味をもっている中国人も多そうである。
世界に向けて日本アニメを紹介する麻生太郎の名言集
アニメ文化に明るく、海外滞在経験の長い麻生太郎氏。国会で”アニメによる非言語コミュニケーション”が海外戦略においていかに重要かを語っており、マスコミが報道しない名演説として注目を集めている。

名言①『言葉なしでもコミュニケーションができる』
ポケモンは殆ど『ピカ』と『チュウ』しかしゃべらずこの文化を世界に植えつけた最初のもの
名言②『ロボットは人間が困ったときに助けてくれる』
ドラえもんや鉄腕アトムが、この概念を日本人に植えつけたがゆえに、日本では世界でいちばんロボットが普及した。
名言③『困ったやつは絶対助ける、仲間は絶対助ける』
ワンピースは数多くの濃いキャラクターが騒がしいが、徹底しているのはたった1つの哲学。
最近日本の漫画家がブラック企業化しているという噂や中国に飲み込まれるという話は絶えない。また、中国で中国文化を尊重しようという『国潮』という新しい流れが生まれている中ではあるが、日本が世界に発信する強みの一つとして、アニメもACGNも強力な武器ではなかろうか!?
最近の麻生太郎がNHKの記者から『ゴルゴ13がギネス世界最長』と言われて『ハハハ、NHKからの質問で今まで一番レベル高けえかなと思ったけど』とお茶目な記者いじりを見せている。世間から風当りが強い麻生太郎氏の言葉であるが、個人的には結構好きで、彼のアニメに対する熱い言葉で締めくくっておこう。
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