
中国で写真撮影は要注意!!
市場調査で数えきれないくらいたくさんのエリアを訪問している。その中でも、2018年の大規模調査では、都市、地方都市、農村に分けて訪問し、実に10,023枚の写真を撮ったのだが、その内6000枚くらいは、街ゆく人々のファッション写真である。特に流行に敏感な女性の写真が殆どである。これは”ファッションからエリア別の人々の価値観を探ろう”という発想から始まった。詳しくは”中国ファッションブームは起きない⁉︎『見られ方』より『見せ方』私を見て~‼“をご閲覧ください。

実は中国で写真撮影は要注意である。なぜかというと、コピー商品を取り扱う店舗多いことや政府機関の建物の撮影は禁止、その上親族以外には心を許さない気質などを考えれば、当然写真はご法度と言っても過言ではない。

因みに、ガソリンスタンドは国家経営であり、撮影はNGである。遠くから写真を撮ったのがバレて店員が猛ダッシュで追いかけてきて『写真を見せろ‼』と言われて実際に削除した事も数回ある。その他、コピー商品店を撮影してバレて、ヤクザみたいな店員から呼び止められて、現地のスタッフが間に入ってタバコを渡しながら、なだめてもらった事も数回ある。このように相手も警戒心があるので当然写真撮影がバレるケースも発生してしまうのである。当然捕まるとしたら容疑はスパイ行為であろう。
尋問6回‼ ちょっとヤバかった2つの事件簿
2018年の調査では最終的に6000枚もの写真を撮ったが、写真撮影に敏感な中国で何も無い訳がない。

ある時は、ピンク色に塗装したフォルクスワーゲンの車に乗ったピンクコートを羽織った女性から、『なんで取ったんだ!? 』と詰め寄られ、ある時はカッコいいバイクを撮っていたら、持ち主の兄ちゃんが帰ってきて、口論になり掛けて『あなたのバイクはカッコイイね~!』と誤魔化したり…そりゃあ、色々あるのである…。特にピンチだった2つの事件簿を紹介しよう。

1つ目は、ある雲南省の片田舎。ファッション店の外観を撮っていた時、急にムスリムの黒い被り物の女性店員が、私を指さして騒ぎ立てた。『あなた何してるの?写真撮ったわね‼‼』『いやいや、あなたの店を撮ったのではない‼』などと口論しているところに店長らしき男性もやって来た。
『何してるんだ!?』『いやいや、街の景色を撮っていただけ…』その店長とやり取りしている間、ムスリムの女性は『不可以(ブカイイ)!不可以!不可以!』(許せない!)をオウムみたいに連呼している。
そして今まで話し合いをしていた店長が携帯電話を掛け出したのである。咄嗟に『あ!ヤベェ…』と思ったので、『俺は何も関係ない‼』と簡単な中国語だから、その時だけは自信満々で大声で言い放ちながら、後ろを振り返らずにその場を立ち去った。『追っかけてこない‼やった~‼』セーフである。本当は心臓がバクバク、ドキドキであった…。

2つ目は、ある重慶の地方都市の繁華街で、カップルの女性の靴下が可愛らしく、上手く撮ろうファインダーを覗き込みながら四苦八苦していたら、突然、後ろから腕を掴まれた。完全にノーマーク……。
振り向くと私より背が高い190㎝くらいの男性警官と女性警官が仁王立ちしていた。『何をしてるんだ‼‼』『いやいや私はこの町のファッションの傾向を調べてます…』『あ”〜!? 何を言っているんだ‼‼』と男性警官は捕まえる気満々。
よし、もう一回説得してみよう。『この街のファッションの服装を撮っていたんです。写真を見ますか?』などモゴモゴしていると、隣にいた女性警官が『あ~!この町のファッションの服装を撮っていたのね‼』とスーパーナイスフォロー‼『そう‼そう‼そう‼』と即答した。不満そうな男性警官はムッとしていたが、なんとか事無きを得たのであった。こういう時の中国語は良く聞き取れるものである‼
2つの尋問にその場は私一人、初めてきた街での出来事である。もし、警察に突き出されたり、捕まったりしたらどうなっていたのだろうか!? 考えただけでゾッっとする出来事であった。
私の尋問からの回避法
ただでさえ、写真撮影に敏感な中国で、こんな尋問を6回も受けながら何とか無事生還している。ここで実際に私が心掛けた回避法をご紹介しよう。
一番気を付けたのは『外国人とバレないこと』である。幸い中国では日本人は外観だけでは区別がつきにくい。大きな問題は言葉。出来るだけ四声を意識して発音し、短い言葉で回答するのがコツである。実際に中国でも方言があり、その方言は日本では考えられないぐらいお互いに聞き取れない。例えば北京語(標準語)をしゃべる人が上海語を聞いても3割程度しか分からないというくらい聞き取れない様だ。これを利用して、短い言葉なら『田舎から来た中国人』として何とかなるのである。
と、偉そうに語学を語っているが、よくもまあ~バレなかったもんだw。自分でも何が起こった分からないくらいラッキーである。
少し真面目な話をすると、毎日毎日、反日映画が流れる中国である。地方などでは教育レベルも高くなく、当然のごとく『日本=酷いことをした』という教育がなされていると考えるべきである。また反日記念日も多く、実際に被害に遭っていなくても恨んでる人も多いと安易に推測できる。よって『外国人とバレないこと』が最重要となるのである。どこに反日地雷が埋まっているか分からないのである。
二つ目に撮影方法を工夫するのである。遠くから望遠でピントを合わせて撮影すること。最初はその要領に気づかず、近距離で撮っていたので、よく注意を受けたり、変な目で見られていた。実際に出張を重ねれば重ねるほど、バレる回数は減っていったのである。

三つ目にサングラスをかけること。たまたま夏だったので、サングラスを掛けたら全く注意を受けなくなった。確かに中国人でサングラスを掛けている人は極少。ついでに髭も殆ど生やさない。生やさないというより、体毛が薄い人種なのかもしれない。スネ毛なども生えていてもかなり薄い感じである。
話を戻すが、後からスタッフに聞くと、”サングラスを掛ける習慣がないのと偉そうな感じがして目立つからしない” との理由であった。実際には太陽は眩しすぎるんだけど…である。
振り返ってみると私の場合は、たまたまラッキーだったかもしれない。中国での写真撮影は、我々の常識を超える事情がところどころにあるので、注意に越したことはなさそうである。
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