中国人の『理由は3つあります!』という深層心理とは?

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プレゼンテーション風景イラスト。ビジネスの基本『理由は3つあります!』
ビジネスの基本『理由は3つあります!』というと論理的そうに見える。

ビジネススキルの変化

ビジネスの世界では『起承転結』ではない。物語を述べている時間がもったいないのである。基本は、現象を述べて先に結論、その後理由であるから『起結承』となる。ITが発達した世界では、もはや『結』のみの場合や『結』から説明の場合も多いだろう。それほどスピーディーにビジネスの世界は動いているのである。

ソフトバンクの孫正義氏の場合は、『資料は1ページ・プレゼンは1分が基本』であり、まさに『ひと目』で主旨と結論が理解されなければ、次に繋がることは皆無だという。また、堀江貴文氏も、メールなどの社交辞令文『おはようございます、お世話になります、ありがとうございます、自己紹介』などは無駄と言っている。現代を牽引する経営者たちは、結論と判断を効率よく回す傾向にあるのだ。

これからのビジネスマンに求められるスキルも益々研ぎ澄まされなければ、生き残れないであろう。『企画や説明の芯の部分を いかに・短時間で・無駄なく・的確に・魅力的に・伝えるか』という風に変化してゆくだろう。

日本人の仕事術

グローバルな視点が基本となったビジネスの世界で、我々日本人も世界的には、なかなか結論を出さない部類であろう。石橋を叩いて渡るリスク回避型の仕事術や思考、チームワーク型、承認型の従来のビジネスモデルが違和感を生むケースも少なくない。中国人から見ると『目の前のチャンスを、なぜみすみす見逃すのか?』と思われるケースも多い。どちらが正しいか?と問われると良い面と悪い面があり、正解は永遠の謎の様に思うが、スピーディー重視型ではないのは確かである。

この日本人の気質は中華圏だからか!? と思う時がしばしばある。英語はYes・Noから始まり、先ずは結論が先に来る習慣が幼い頃から自然に備わる。世界の基準が英語圏の欧米型・スピード重視型であるとするならば、日本人の思考や言語は必然と不利になる。よって、我々日本人は意識的に、強制的に習慣を変える必要がある様に思う。

中国人の仕事術

中国人と一緒に仕事をしていると、慎重派の我々から見てもイライラすることが多い。特に説明やプレゼンテーションの時である。現象から始めるのはいいのだが、その後もダラダラ、ダラダラと自分たちのやって来たプロセスを述べる事が多く、肝心の結論がうやむやになる事が多いのである。『起』と『承』の部分で満足する感じである。『長く説明したら、それだけ仕事をした証拠』と言わんばかりに、長い割に中身がないことが多い。

もちろん、この様な仕事術の教育を受けていないことも影響しているだろうが、『結論から説明して』と言っても、説明できない事も多い。そもそも説明意義や主旨すら、ぶっ飛んでおり、自分がどれだけ頑張ったかアピールに終始することが多いのである。

また、計画性については『概念すらないのでは?』と感じたことがある。5年先や10年先などを想定するのが基本の我々にとって、彼らはその計画自体を無駄と感じている節がある。理由を推測していくと『中国政府が明日にも、なにを言い出すか分からない』という環境下で、一般庶民が将来や先のことを考えても無駄で、それよりも今、目の前にある課題の方が大事だという発想が根底にある様である。

中国人特有のプレッシャー

このような感覚を持っている中国人との会議などの場では、イライラの連続であるが、仕事術の教育を満足に受けていない中で、彼らは彼らの特有のプレッシャーを感じている様である。簡単に紹介しよう。

中国人特有のプレッシャー

●いくら説明スキルがなくても、面子は保たなければならない。

人前で恥をかくことは許されない。このプレッシャーは立場が上なほど大きく、日本人の想像を超えている様に思う。

●上司と違う意見はご法度

人事政治と言われる様に、上には逆らはないという根底教育を受けている彼らだから、上司の意見と違った場合は、ちょっとした一大事である。

●非を認めると全責任を負う可能性がある。

非を認めて謝ったりしてしまうと、全責任を負わされると思い込んでいる。また、上司からも、そういう評価や判断をされてしまう可能性がある。

このような中国人特有のプレッシャーの中での説明や発言なので、中身の無い内容でも、長く喋り、自らの存在感や立場、面子を保とうとするのである。

また、我々日本人は簡単に『会議は役職や立場はフラットで』とか『自由闊達な会議』とかを口にするが、中国社会の場合はそうもいかない様である。

オールマイティー『理由は3つあります!』

会議などで誰かを指名して意見を求めると、先ず紋切り型的に『○○である。理由は3つあります!』と、必ず理由は3つあるという。この3つあるという言い方は、どこかで教えられたのであろうか?よくマニュアル本で書かれていて、理に適っている様に思うのだが、理由はかなり適当な場合が多い。3つ目ともなると目も当てられない事も多々あるwww。

おそらくであるが、この『理由が3つある』という論法は『中国人特有のプレシャー』に対してかなり効果的であることがわかる。長く喋れて存在感をアピールでき、いかにも賢そうに見え、理路整然とロジカルに説明した印象を与え、上司の同意も得られやすい。いずれも、彼らにとって内容は別にして、印象が大事なのである。また、面子キープにも大きく貢献するのである。

こういった背景から、彼らが『理由は3つあります!』を乱用する深層心理ではないだろうか。また、彼らの機微の感覚、立場や面子を我々は汲み取って対応してあげるのが、駐在員の宿命なのではないだろうか⁉

今の時代に逆行しているのだが… これからも、彼らの面子を潰すのだけは避けた方が良さそうである。これも郷に入っては郷に従え…なのかな⁉︎

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