中国の『我先に‼︎』身勝手な競争文化はどこから生まれたのか!?

根底思想
スポンサーリンク
中国の歴代の国家主席と主な歴史。
中国の歴代の国家主席と主な歴史。

中国は社会主義?資本主義?

今の中国を社会主義国か? 資本主義国か?に明確に言い切れる方は少ないであろう。一党独裁政治を強いながら、市場経済で自由に熾烈な競争原理が働いている。かと思えば、どのジャンルでも、国営企業が牛耳っている場合もある。こうなると今の中国は”「社会主義」と「市場経済」の融合で、独自の発達を遂げた国家”というのが、正しい表現かもしれない。

こういった環境の中で、普通に生活していて感じるのは、国民は、いつでもどこでも競争しているのに気が付く。電車の椅子取りでもホテルカウンターでも、車の運転でも『我先に‼ 』という意識が高く、『国民は完全に市場経済の原理で行動している』のである。このように書くと綺麗で美しく見えるのだが、現実は『他人の迷惑を顧みず、他人を蹴落としてでも、自分の利益を第一優先する』である。こうなると、私自身にも実際に実害があるので、”一体どのようにしてこのような競争原理を国民の心に植えつけたのか⁉︎” 自分なりに紐解いてみることにした。

中国の歴史を振り返ろう

やはり、先ずは歴史を振り返えらなければならない。

1960年代から1970年代後半は、毛沢東の時代。強烈なカリスマ指導の下、社会主義を前面に打ち出している。その代表格は文化大革命であろう。徴兵ならぬ徴農制度を用いて、若者を強制的に農業に従事させたり、反政府の有識者を弾圧したり、知的財産を壊したり、完璧社会主義国に邁進している。

1970後半から1980年代後半は、鄧小平の時代。最大の鍵は改革開放路線であろう。これがトリガーとなり、高度成長期が始まり、今の中国経済の基礎となっている。特に彼の『白猫黒猫論』と『先富論』はとても有名である。

1989年から2002年は、江沢民、胡錦濤の時代。鄧小平の改革開放路線の後継者という位置付けであろう。その間、外交やオリンピックなど、国際的な役割も少しは目を向けている。経済に目を向けると、世界の工場と言わ始める時代で、第2次産業が最も栄えた時期と言えよう。一方で急速すぎる経済発展の歪みで、都市化問題や地域格差、戸籍問題など、一気に噴き出す時期でもある。

2002年から現在までは、習近平の時代。経済的には高度成長期の終焉時期であり、新常態政策(ニューノーマル)を打ち出す。これは『15%成長は過去で、6%くらいが普通になりましたよ〜』という宣言のようなものである。また、習近平の基盤が盤石でないことから、『虎もハエも叩く』という大義名分で内政的な敵を叩くのに時間を費やす。政治的思想は、習近平が中学生くらいの多感な思春期に、毛沢東のカリスマ政治に影響を受けていることから、かなり崇拝していると言われている。また再びカリスマ的社会主義に戻るのだろうか!?

『白猫黒猫論』・『先富論』の誤認識がターニングポイント

歴史を紐解くと、国民の意識が『他人を蹴落としてでも我先に』となってしまったのは、やはり鄧小平の解放改革路線の時期に起因すると考える。ちょうど今の中国経済を牽引している30代、40代が一番影響を受けた時期と重なる。中でも鄧小平の『白猫黒猫論』と『先富論』が間違って認識された可能性が高いと推測する。

白猫黒猫論の本来の意味・意図

『白い猫も黒い猫も鼠を捕るのがいい猫だ』

『黄色の猫(社会主義の人)や、黒い猫(資本主義の人)といった違いにおいては、何も気にしない。それよりも大事なのは、ねずみが獲れたかどうか(国の経済面を成功に導いているかどうか)という点だ』

これが、国民の都合のいいように解釈されると…

 ➡︎ 『悪い事をしても、良い事をしても儲ける人がいい人だ』

先富論の本来の意味・意図

『先に富を築ける人から築きなさい』

『先に豊かになれる者たち(地域)を富ませ、落伍した者たち(地域)を助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にすることである』

これが、国民の都合のいいように解釈されると…

 ➡︎『先に儲けることが出来る人から儲けなさい。その人が偉いのです』

これが文化大革命終了直後で、知識も教養もない国民は、自分の都合のいいように捉えるのは、火を見るよりも明らかである。また、完璧社会主義から、いきなり超市場経済へ180°転換には、当時の国民にはジェットコースターのようであっただろう。

良くも悪くも一党独裁

かなり個人的解釈であるが、当時の教育・教養レベルの乏しい国民からすると、当然自分の都合の良い意味で捉えられるのは火を見るよりも明らかである。『一党独裁で逆らえない共産党のトップが、公に悪事を働いても、先に儲けた人が偉いと言っている』と間違って認識されたのではなかろうか⁉︎ こうして現在に至っているのではないか⁉ という結論に至ったのである。

良くも悪くも一党独裁であり、お上には逆らえない中国である。その舵取りには、慎重に慎重をを重ねて頂きたいものである。昨今、国際的にも内部的にも、かなりの問題や課題が山積みの中国。過去の教訓を活かして、世界第2位の経済大国として、先進国として、振る舞ってもらいたいと切に願う今日この頃である。

コメント