中国 人材育成のリアル 日本人はお人好し過ぎなのか!?

根底思想
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日本の人材教育の考え方は、世界と比べて正しいのか?チームワークと個人プレーどっちが大切?イラスト
日本の人材育成の考え方は、世界と比べてどのように写るのか?

転職天国の中国

中国は転職天国である。転職によるキャリアアップの考え方が根底にあり、それを受け入れる社会となっている。また、夫婦共稼ぎが当たり前で、都市部では男女平等を身近に感じることができる(農村部は未だ男尊女卑の風習が色濃い)。唯一の違いは、女性は55歳定年、男性は60歳定年であるが、少子高齢化社会に突入した現在では、この先変わってくるだろう。

ある記事で、中国の転職について、面白い記事を読んだ。転職が決まった部下が上司に『転職が決まりました。喜んでください‼︎』と報告すると、上司も『おめでとう!良かったな‼︎』という会話である。中国の場合は会社の繋がりより個人の繋がりの方が重要で、『転職出来るぐらいの能力のある部下だから、きっと転職先の会社でも頭角を現わすので、将来的にその会社とも友好関係が築ける』という発想である。とても中国風情を的確に表現している様に思う。

また以前、中国人とのグループディスカッションで、『仕事へのモチベーションについて』面白い話があった。彼らのモチベーションの割合は下記の様である。

①収入                 50%

②やりがい               30%

③環境(勤務地が近い、福利厚生など)  20%

リップサービスかも知れないが、意外にも『やりがい』のウエイトが高いのが印象的であった。拝金主義の中国なので、収入の割合がもっと高いはずと思ったのである。

職種による人材育成の違い

この話は、実際に私と会社の方針の違いでモメた話である。ある新規部署を立ち上げるに当たり、採用面接を実施する事になった。新卒採用を推奨する会社に対して、中途採用を要望した私の案は却下される事となった。転職天国の中国なのだから、専門分野に対して、全く知識も経験もない人材より、ある程度の経験があった方が、成果が早く出ると思ったからである。そして、最終的に新卒者2名の採用が決定した。

ここでの相違は人材育成についての考え方である。この手の話は同僚と何回も何回も議論を重ねる事となる。気づいたのは、開発系と営業系では少し人材教育の考え方が違うという事である。私は元々営業系、毎月の台数ノルマに追われて、必要な知識はOJT(On the Job Training)で、仕事をしながら覚えるし、成果スパンは1か月単位、主だった教育など受けたことが無かった。なのに対して、開発などは、10年スパンで人材育成を考えて、じっくりノウハウを叩き込み、使える人材へと育て上げて、その後成果を刈り取るといった具合である。育成していかないと仕事が回らないという職業的な課題もある事も分かった。ここでの結論はどちらが良い、悪いではない事が分かった。

日本人はお人好しすぎるのか!?

それから1年も経たないある日、開発の人が烈火の如く怒っているので、理由を聞くと『手塩にかけて育ててきた入社5年目のスタッフが、転職で他社に行く。給料は倍だって。恩もへったくれもない‼ 』との事。私は『転職天国、拝金主義の中国で、こんなの仕方がないじゃない~』と思っていたので、『在籍中は、彼らの労働力を使うだけ使ってやろう‼ とか発想ってありましたか?』と聞くと『そんなのは無い。純粋にノウハウを教えて一人前に育ててやろうと思っていた』と。『なんて日本人はお人好しなんだろう~!』やっぱり、日本人はお人好しだと思う。

考えてみれば、ノウハウを全て懇切丁寧に教える人種なんて、日本人だけではないか⁉ と思い始めた。私の経験上、大多数の外国では、明日からクビと言われて、その人の抱えこんでいた業務が回らない事が多々ある。誰もが自分の価値や地位、雇用を守るために、肝心のノウハウは教えないのが基本の様に思える。ここ中国はご多聞に漏れずその様である。欧米や東南アジアの雇用形態や退職金制度が日本と違ったり、転職が当たり前の風習などを考えると、肝心のノウハウは極力教えないのが、世界の基本ではなかろうか⁉ チームワークより、個人の成果や個人プレーが重宝がられ、個人で転職しながらキャリアアップをするのが世界基準の様に思える。

私の中国人材育成方針の決定

この様な経験を経て、私の中国での人材育成方針は固まった。『出来る限りのノウハウはオープンにして、教え込み、転職できる能力を出来るだけ早く身に着けてもらう。在籍中は能力以上の業務を振る』と転職前提の育成方針にした。だから口癖は『こんな業務も出来なければ、早く他に転職した方が自分の人生の為だよ。新しい事に挑戦するには早い方がいいよ‼ 』である。現在、スタッフはやる気に満ち溢れ、多少の事ではへこたれない根性も付いてきたように思う。

何を隠そう私もバリバリの人情派である。しかし、辞めた時、悲しく悔しがるよりも、彼ら彼女らの人生を考えて、在籍中は能力以上の労力を出し切って成長してもらい、辞めるときは、お互い感謝しながら『おめでとう!』と言える様になりたいのであるwww。

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