中国 『これって…マーケティングだよね?』的な光景

経済
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中国の広東省の片田舎で自然に営まれているマーケティング手法を見掛けて衝撃を受ける。
①ドライブスルー ②チャネルの最小化 ③異業種コラボ
中国の広東省の片田舎で自然に営まれているマーケティング手法を見掛けて衝撃を受ける。
①ドライブスルー ②チャネルの最小化 ③異業種コラボ

そもそもマーケティングとは?

ビジネスに携わる方にとっては、永遠のテーマであろう『マーケティング』。その時代の背景や環境によって変化し続けるし、これが絶対正しいという正解がないのが、難儀な反面、魅力的であり、我々の探究心をくすぐり続けるのである。

マーケティングといえば、マーケティングの神様:F・コトラー、経営の神様:P.F.ドラッカーがあまりにも有名であるが、近年では、Apple創始者のスティーブ・ジョブズ氏となるだろう。だれもが一度や二度どころか、幾度となく本や記事や研修などで、お目に掛かっていることだろう。私もあらゆる場面で、よくお世話になっている。マーケティングを学習する上で、必ず出てくる偉人たちである。『昔の人なのに良いこと言うなあ〜』が正直な感想である。やはり、本質を見抜いている人の言う言葉は、いつの時代も不変であることに感心するのである。

そもそもマーケティングとは、何なのか?あまりにも広義のため諸説あるが、整理の意味を込めて定義しておきたい。

Marketingの定義

「マーケティング」とは、個人や集団が、モノを創造したり製品や価値を交換したりするプロセスを通じてニーズとウォンツを満たす活動のことであり、『お客さまに買っていただくためのしくみづくり』である。

また、我々日本人は、なぜ、マーケティングを理解しているのだろうか!? 少しマーケティングの歴史を紐解いてみよう。

Marketingの起源と日本伝来
  • 1902年にアメリカのミシガン大学などで『マーケティング』という言葉が使われ始めた
  • 1905年にオハイオ州立大学で『マーケティング』の講座がスタートした
  • 1900年ごろのT型フォードの単品大量生産が起源
  • 19世紀の末、アメリカで農作物の流通の関係が起源

            

  • 1955年 日本生産性本部のアメリカ視察から帰国後、当時の経団連会長、石坂泰三が「アメリカにはマーケティングというものがある。我が国もこれからはマーケティングを重視すべき」と発言したことで日本に伝わった
  • ヤマト運輸の小倉昌夫がマーケティングを勉強して宅急便ビジネスを興した

さまざまな説がある様だが、いずれにしても始まりは20世紀に入ってから、アメリカで生まれたとある。驚くことに、その歴史は120年程度でまだ浅く、しかも日本においては、まだ65年という歴史しかないのである。

ということは『日本もアメリカからマーケティングを学んで理解している途中』というのが正しい表現となるのだろうかwww。

中国でマーケティング普及

マーケティングの定義は諸説あるので、私は一言で『売れる仕組み造り』と説明している場面が多いのだが、説明を受ける中国人スタッフにとっては『???』なのである。そもそも現段階では『中国にマーケティングという概念がない』様に感じる。いや、既に実践している企業もあるだろうから、『中国にマーケティングという概念はあまり普及していない』と言うのが正しい表現であろう。

マーケティングの中国語の本も購入しようと思って、本屋に言ったが、マーケティングの基本を教える本はなく、中国で成功を収めた偉人たちの成功事例的な本ばかりであった。

マーケティング概念がないとなると、日系企業が、中国でビジネスをしてゆく上で、会話や思考に差異が出てしまい支障となることも少なくない。よって、マーケティング基礎知識の研修をすべく、自分で資料を作成・中文化し、日々普及に尽力しているのが今の現状である。

これって…マーケティングだよね?

そんな苦悩の日々を過ごしていた時、広東省の片田舎に出張に行った時のこと『これって…マーケティングだよね?』と思わす様な、驚きの光景が目に飛び込んできたので、3つ紹介したい。

①ドライブスルー  

バイクに跨がりながらお買い物は当たり前〜

青空市場などで、バイクや電動車で乗り付け、バイクを降りずに買い物を済ませて、立ち去る姿をよく見掛ける。

日本でドライブスルーが始まったのはいつぐらいなのであろうか!? 私の記憶は定かではないが、マクドナルドで初めて見たのが印象的である。ネットで調べると、1976年に、新潟県長岡市のフレンド喜多町店というイタリアンフード店が最初で、マクドナルドが翌年の1977年とある。いずれにしてもアメリカ発で、1930年代からとある。歴史ある手法であった。

中国の場合のモータリゼーションは1990年代から始まっている。その前は自転車だったのであろう。自転車で降りずに買い物を済ませていたのは安易に想像できるのである。当時の彼らがMarketingとか、ドライブスルーとか知っているはずがない‼ まさに天然ドライブスルーの誕生である。

②チャネルの最小化

〜生産者の顔が見える!安心とチャネル最小の売り方〜

実際に農家の生産した人が、リアカーなどで野菜を積んで持ってきて、直接消費者に売っている姿をよく見る。

一昔前から、日本のスーパーの野菜売り場では、『私が作りました‼ 』と大きな野菜畑を背景に、生産者の名前入りの写真を見かけるようになった。作り手の思いを伝える事と買い手の安心を狙った広告手法である。確かにどこの馬の骨が作ったか分からない野菜よりも、生産者の顔があると、責任の所在が明確になり、信頼度が増すのは明らかだろう。

また、農家の人々にとっても生活の糧であろうし、チャネルを最小にすることで、中間業者がなく消費者に直に、安くて新鮮な野菜を提供出来るのである。納税とか、商売資格とか堅い話は抜きにして…Win-Winの関係である。

③異業種コラボレーション

〜異業種とコラボで集客と客層の違う消費者を一網打尽〜

薬局と八百屋とか、服屋と雑貨屋とか人の集まるところで、路上で勝手に商売している姿をよく見掛ける。

Marketing手法で、異業種コラボというのがある。『薬を買うついでに野菜も』とか『服を買うついでに雑貨も』とか、集客の多い違う業種の店の場所で、ついで買いを狙うのと、違った客層なので競合しないという効果的な手法である。

これら3つとも、自然に出来上がったマーケティング手法である。彼らがマーケティング知識を持ち合わせているわけもなく、もしかしたら、無意識のうちに、もっともっと色々編み出されているかもしれない。

本能に任せた自然マーケティング

①ドライブスルー ②チャネルの最小化 ③異業種コラボ どれもマーケティングを勉強してゆく上で、一度は聞いたことがある方も少なくないだろう。要するに我々はこの言葉や手法は学習によって、身につけた知識や経験である。

一方で、超合理的な考え方をする中国人というのは、自然に色々なマーケティングを発想しているのではないか!? と考える様になった。我々が勉強して辿り着くようなマーケティング手法を自然に合理的な発想によって、創り出しているのではないか⁉ と思ってしまうのである。

本来、人間のニーズを埋めるのがマーケティングであり、不便を解消する事が究極の目的である事を考えると、中国の超合理的な発想というのは、理にかなっている様にも思う。恐るべし!中国的発想である‼︎

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